Realtime:kiss
「奈緒ぉ、もう、いい加減にしな?
圭吾も、こんなの相手にしなくて良いからね!」


私は酔いに任せて山中さんにシナダレかかり、私を振ったクソ野郎の悪口を延々と語った。

「い~じゃん、奈津紀ぃ、山中さんってやぁさしいし、あたしの話聞いてくれるしぃ、何たってオットコ前だしぃ、ね?もうちょっと、ね?」


ぷぅ~っと頬を膨らまして私を睨み付けた奈津紀は、大きな溜め息をついて、私達に背中を向けた。

嗜好は偏ってるけど、男前が嫌いな訳じゃない。

どっちかって言うと、大好物だったり?

ただ、付き合うとなると、浮気をされるんじゃないかとか、本気じゃないかもとか、自分は相応しいのかとか、もっと頑張らなきゃ、だとか、もう、そんなんばっか、考えちゃうんだ。


で、疲れちゃうの。要するに、私は男前を目の前にすると、緊張しちゃうんだよね。

「しかし、こんなに可愛い奈緒ちゃんを振る男って、一体どんな奴だろうねぇ、鈴木さんや伊達さんは当然、知ってますよね?」

里中雄馬が不意にそんな事を言う。

「いっ、いや、ホント、大した事な…「それがさぁ、ちょっと!聞いて驚かないでよぉ」

私の言葉に思いっきり被せる奈津紀。


「身長165㎝位で、そうねぇ、見た目、80㎏は超えてるわね。
ビールっ腹かどうかは知んないけどお腹が出ててね?はっきり言ってメタボちゃん。
妙に汗っかきで、スーツの下は真冬でも半袖だったよね、奈緒」

「もう、其処まで言う事ないでしょ?」

「ぎゃははははっ!なんじゃそりゃあ、お前変わってんなぁ、ぎゃははははっ、超ウケる。
お前まさかのB専?」

碕岡蒼佑がビール片手にばかうけしている。

何だかムカつく・・・

「ほっ、ほっといてよ。セクハラ野郎。あんたにゃ関係ないじゃん」

「ちょっと、奈津紀?言い過ぎだって。あの人にだって、何かこう、良い所?があったから、奈緒だって、受けた訳だし・・・

奈緒、アンタも碕岡さんに失礼だよ?謝りなさい」

陽子に目玉をくらい、少しメゲるあたし達・・・


「・・・うん、陽子の言うとおりだよね、言い過ぎた、ごめん奈緒」

「い、いや、あたしもごめん・・・」

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