Realtime:kiss
奈津紀は、下手な小細工が後からバレて、上司に文句を言われないよう、ほんとの事を言ってくれていた。


“知人が事故に遭い、病院に安否の確認に行っている。
事と次第ではこのまま直帰するかも”
と…




経理課に戻ると、課長が慌てて駆け寄ってきた。


「咲宮君、ちょっと……」


「はい…、あの、課長、勝手して……」

「怪我の具合、大丈夫だった?」

「あっ、大丈夫でした、すみません、勝手して」

「いいから、いいから…」

軽くあしらわれ、隣の会議室に入るなり、こんな事を言ってきた。


「君、支社の碕岡君と付き合いがあるのか?」


!!!!!!


驚いて言葉が出ない私に課長は追い討ちをかける。


「今し方、碕岡君の祖父と名乗る男性から連絡があったんだよ…

婚約者の入る孫に手を出してくる女が勤めている会社はここか、と…
不味いんだよねぇ…」


私は耳を疑った。


課長は続ける、「その……電話の内容は本当なのか?……」

確かに蒼佑には婚約者がいる、それは紛れもない事実…

でもそれは、勝手に決められた蒼佑も納得していない事、ましてや、私達はそんな仲ではない。



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