雪風‐冷たくさらっていくもの‐
「そう。好きになるだけ損だ」
僕は木葉を肯定した。
「健二は女子友達の中では風乃が一番大切だ。他の女の子が健二の一番になりたかったら風乃を超えなきゃいけない。でもそんなの無理だ。健二が偶然、自分にどうしうようもなく恋しない限り、風乃は超えられない」
「そしてそこまで大事にされてる風乃よりもさらにあんたのことを五十部は大事に思ってるのね」
「自慢じゃないけど一番の自覚はあるよ」
まあそれを獲得したのは、僕であると同時に僕ではないのだけれど。それまでは木葉も察していないらしい。
「まあ、だから木葉は今朝みたいなことをしたんだろ?」
木葉はうつむいたまま、応えなかった。
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