雪風‐冷たくさらっていくもの‐
事の始まりはいつも唐突で、時を選ばない。
朝のホームルーム。全員が黙り込む小テスト中に、突然木葉が立ち上がり教室を出て行ってしまった。
茫然とそれを見る僕を含むクラスメイト。担任の慌てたような、あるいは怒ったような声が木葉を呼ぶ。それをきっかけにざわつく教室。そして、健二が木葉を追いかけて教室を出て行った。
たかだか数秒の出来事が、これからのことの始まりだった。
僕は健二を追いかけることもなく小テストの用紙をじっと見つめた。
木葉の得意な英語だった。
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