雪風‐冷たくさらっていくもの‐
昼休みに、僕たちは集まらなかった。
木葉は席を立とうとせず、健二は木葉を気遣って教室に残った。
僕は久々に風乃と二人きりの昼休みを過ごした。
「そう。そんなことがあったんだ」
風乃はサンドウィッチをほおばりながら僕の話を聞いていた。
風乃は甘いものが好きで、さっきからフルーツサンドしか食べていない。
僕はそれ以外の具のサンドウィッチをもらって、かわりに甘い卵焼きや煮物なんかをあげた。
美味しそうに卵焼きをほおばる風乃は可愛くて、いつまで見ていても飽きない。
「なんでかな?木葉ちゃん、何か嫌なものでも見ちゃったのかな」
「きっとそうなんじゃないかと僕は思ってる。でもすぐに健二が木葉を追いかけてったからたぶん大丈夫だろ」
「優しいね、五十部くん」
にっこり笑って嬉しそうに風乃は言った。
「あいつは優しいよ」
健二のことを良く知ってる僕たちは他愛のないことで笑った。
< 6 / 18 >

この作品をシェア

pagetop