雪風‐冷たくさらっていくもの‐
起きた風乃は自分が何かを言わなかったか、と聞いたが、僕は何も言ってないと答えた。
教室に戻ると、木葉はある程度回復していて、健二と二人で何かを喋っていた。
「お、砂雪。悪かったな一緒に行けなくて」
健二が僕が戻ってきたのに気付いて声をかけてきた。
無視することもないので僕も返事を返した。
「まあ、たまには風乃と二人で食べるのもいいさ」
「それじゃあこれからはたまにそうするかぁ?こっちはこっちで木葉と一緒に食うよ」
「馬鹿。あんたと二人きりなんてごめんよ。せめて風乃がいなきゃあ」
木葉が普段の調子で喋ったので、僕は少し驚いた。
もうちょっとローテンションが長引くと思ったのだが。
「うわ、ひでぇ!砂雪ぃー木葉に振られたー」
「ちょ、おい。わざとらしく気持ち悪い言い方するな!」
「砂雪もひでぇ!」
けらけらと笑いながら健二は僕の肩を叩いて自分の席に戻っていった。
「じゃあ」
木葉に挨拶して僕も席に着こうとすると、木葉が慌てたように僕を呼んだ。
「一条!」
「……何?」
「えと、ごめん。もう何ともないから。風乃にも、知ってたら言っといて」
「わかった」
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