雪風‐冷たくさらっていくもの‐
とは言ったものの、僕はそれを風乃に言うつもりもなかった。
風乃は、言葉は信じる。
それがやせ我慢ならそれを悟って信じたふりをする。
木葉は明らかに自分の問題を片づけてない。
表面上はそうでも、気持ちに片が付いてないはずだった。
それは健二を見ればわかる。
今が崩れれば、風乃が悲しむ。
僕は、僕の中の最初の想いに沿って、木葉をなんとかしなきゃなと思った。
「浅見」
木葉が虚をつかれたように僕を見た。
「放課後、心研の部室に来てよ」
木葉は、ただ戸惑ったようにうなずいた。
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