冬が、きた。
心の中で小さくため息をつきながら、改札の方へ進んでいく。
すると、野々山くんが立ち止まった。
「あれ、どうしたの?」
振り返って野々山くんを見ると、野々山くんはなんだか難しい顔をしていた。
「…………あの、さ、嫌だと思ったら、言って欲しいんだけど」
「ん?」
「あの………なんて言うのかな、その……なんか、名残惜しい、というか……。今日、この後じゃなくても、いつでも良いから、もうちょっと、その、雪音さんと、色々話したくて………」
「え……本当に?」
「うん」
「………良いよ!話そ!」
私は野々山くんを見上げた。
「……白状すると、ちょうど私もそういうようなこと、思ってた」
「本当に良いの?」
「うんっ」
「うわあ………やったあ」
野々山くんは、嬉しそうにくしゃっと笑った。