冬が、きた。
次の日の朝、目を覚ますと慎くんは布団の中にいなかった。
「………慎くん………?」
布団から出ると、テーブルの上にメモが置いてあった。
『雪音へ
おはよう。部活に行ってきます
昨日と同じ時間に帰ります』
………ああ、やってしまった。
明らかな、私の女としてのデキてなさに軽く落ち込む。
こういう時は、慎くんよりも先に起きて、朝ごはん作って、見送ったりするべきなんじゃないの?
……彼女なのに、そんなことも出来ないなんて。
「……だめだなあ、私」
慎くん、私を起こさないように、気を使ってくれたんだ。
優しい。
優しいけど、その優しさが、ちょっとさみしい。
………でも、私には慎くんの部活を手伝ってあげることなんて出来ないし。
私が慎くんにやってあげられることと言えば、ご飯作ったり、洗濯したり、掃除したりするようなことだけ。
「………でも、それすら出来てないじゃない」
……慎くんの力になりたいなあ。
慎くんが忙しいなら、それをちょっとでも楽にしてあげたい。
………今日は頑張ろう。
小さく頷いた。