冬が、きた。





「慎くん」


「ん、なあに?」


もう一度呼び掛けると、慎くんはすぐに顔を上げた。


「今日、何時に寝るの?」


「あー……そうだなあ。雪音は、どうするの?」


「私?えっと、どうしよう……」


今日は生理なので、正直、慎くんの後にお風呂は入りたい。


「慎くんがお風呂入ったら、その後に入って寝るね」


「ん、分かった」


そう言って慎くんはあっさりとスコアを机に置いて、立ち上がった。


「お風呂入ってくる」


「え?もう?」


「うん、遅くなるし」


「……そっか」


私が頷くと、慎くんはそそくさとお風呂場へ向かった。


………なんか、不自然だなあ。


そこで、ちょっと嫌なことを考えてしまった。


慎くん………私に、早く寝てもらいたいの?


もしかして私、慎くんの邪魔してる?


そういえばさっきも、気づかなかったとはいえ、慎くんが集中してる時に話しかけちゃったし。


いやでも、そんな小さいことで、慎くんが気を悪くするかなあ。


ああ、でも、慎くんの考えてることを全部知ってるわけでも無いのに、慎くんは優しいから大丈夫だなんて勝手に思うのは、だめだよね。


………どうすりゃ良いの、私。




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