冬が、きた。
「雪音、上がったよ」
慎くんが、ズボンだけをはいて、上半身裸の状態で、髪を拭きながら歩いてきた。
「早く服着ないと、風邪ひいちゃうよ。こんなに寒いんだから」
私が言うと、慎くんは、私の向かい側のいつもの場所ではなく、私の横に腰を下ろした。
「全然、寒くないよ。暖かすぎるぐらい」
「そうかなあ?」
「雪音が、寒がりさんなだけ」
そう言って微笑んだ慎くんに、そっともたれかかると、ほっぺたに冷たい雫がぽたりと落ちてきた。
びっくりして起き上がる。
「わっ、冷たっ」
「えっ、ああ、ごめんごめん」
慎くんは持っていたタオルで私の頬を拭いた。
そしてまた髪をがさがさと拭き始める。
その様子を見つめながら、私は思わず聞いてしまった。
「………慎くん、今日、私、泊まっていいの?」
「えっ?」
慎くんは驚いた顔で振り返った。
「どうしたの?いきなり。泊まっていいに決まってるよ」
「………そっか」
そう言って私は、へにゃっと笑った。