冬が、きた。
「……雪音、大丈夫?」
「え?」
「なんか、変だよ。さっき、僕が歩いて来たとき、顔が怖かった」
………ばれちゃったかなあ。
少なくとも、私が悩んでることは分かっちゃったみたい。
慎くんはそっと私の額に手を当てた。
「熱は、無いよね。なんかあったの?」
「……いや、何も。……今、私、生理だから、ちょっとおかしく見えるのかも」
「ああ、そっか。なるほどね」
慎くんは納得したような顔で、ドライヤーをかけ始めた。
私は生理痛とかも全然無い体質だけど、慎くんはあっさり信じてしまった。
心配、かけちゃった。
……そんなに私、怖い顔してた?
隣に来て、確かめなきゃいけないほどに。
自分の頬に手を当ててみる。
視線を泳がすと、窓に目が止まった。
カーテンが、また、ちゃんと閉まってない。
手をのばすと、窓についた水滴の中に、ひどく疲れたような顔が映った。
私はそれを見たくなくて、唇をぐっと結んで、カーテンをぐいと引っ張った。