玲瓏
その日は衿哉さんに家まで送ってもらった。

お母さんには、学校まで行く途中で貧血になり、帰ってきたということにした。

次の日。
ケータイを見ると衿哉さんからメールがきていた。

「おはよう、縷依ちゃん。
昨日言うの忘れてたけど、僕ら友達になったんだから、名前のあとさん付けしないでね(^^)
じゃあ、今日も学校がんばって。」

「友達…。」

読み終わると自然につぶやいてしまった。

わたしはあまり明るい方ではないから、友達という響きは嬉しい。

「いってきます。」

いつも通り家をでる。

昨日衿哉さん…じゃなくて、衿哉がいたカフェを見るが、今日はいない。

「おっはよう!縷依!」

「わわっ!」

いきなり後ろから抱きつかれ変な声をだしてしまう。

犯人は…
「瑞姫(みずき)…。また今日もすごい抱きつきで…。」

「あははっ、相変わらず縷依は静かだねぇ。」

瑞姫はわたしの友達の一人。

とても可愛くて、明るくて、優しくて、いつでもそばにいてくれて…。

こんなわたしにはもったいないぐらいいい友達。

「み、瑞姫っ、早くしないと…遅刻だよっ!」

二人で全力で走る。

あともうちょっと…

「セーフっ!」

瑞姫の大きな声が響く。

「すごいギリギリっ…だったねっ…はぁ…」

二人とも息がきれていて、でも気分がよくて。

「こんなに走ったのいつぶりだろう…」

瑞姫といると楽しくて、楽しくて。

わたしの最高の友達だ。


-放課後-

「縷依、かーえろっ。」

クラスの違う瑞姫がいつものようにわたしをむかえにくる。

うん、と返事をして瑞姫と教室を出ようとしたその時…。

「見て見てっ!校門のところにめっちゃイケメンがいる!」

女子の一人が窓の外を指さしながら大きな声でそう言う。

でも、わたしや瑞季はそういうのにあまり興味がないのでさっさと帰る。

靴を履き替えて、外へでる。

瑞姫としゃべりながら校門へ歩いて行く。

「昨日ぶり、縷依ちゃん。」

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