お腹が空きました。
…でも、そんなハイな気分は家に帰って来るなりゲッソリ落ちてしまい。
洗面台を覗き込みながらため息を付く。
目の端に見えた良介の歯ブラシをバシッと握り締め、思いっきりゴミ箱に突っ込んでやった。
これも、
これも、
これもっ!
紗耶は目についた良介のものを次々にゴミ箱に突っ込んでいく。
プラスチック製のおそろいだった可愛いコップ。
緑色の箸。
良介しか使わない男物のシャンプー。
部屋の隅に転がった黒いワックス。
別れた後も別に気にせず置いていた事が今では信じられない。
ほぼ全てのものを処分し、紗耶は決意した。
「よし、ダイエットしよう。」