お腹が空きました。
諦めたように杉崎は包丁を取り出し、かろうじて固まっている端っこにそれを滑らせた。
優し過ぎず、強引過ぎず。
絶妙な力加減で入れられた刃先に、固体は素直にいう事を聞く。
その一番端っこの丸みを帯びた部分に杉崎の節くれだった指がそっと掛けられ、一口サイズの生キャラメルが取り出された。
ほぉ…。
思いのほか繊細な動きに紗耶が見とれていると、ズイッと目の前に腕が突き出される。
ドキリとして杉崎を見上げると、
「ほれ、口開けろ。」
「へっ?!」
ズイッズイッと伸ばされる腕の先には生キャラメル。
「なんだ?早く食え。」
「いやあのでも、わ、」
「っもうなんなんだ早くしろっ溶けるっ」
わ、わ、わ、と紗耶が慌てている所へ杉崎ははんば強引に口の中へ生キャラメルをねじ込む。
う、わ、わ、…っ
あごを杉崎の大きな手で否応なく引かれ、震える唇の間に生キャラメルを押し込まれた瞬間、 クリーミーで甘い美味しさが口いっぱいに広がった。