お腹が空きました。

キョトンとする紗耶に、杉崎が急かすようにまた訊ねた。

「だから、酒井町なのは分かったから、道はどっちだって言ってんだよ。」

気がつけば、駅に向かうルートから車はもう紗耶の住む町の方向へ向かっていて。

「えーっ!送って下さるんですかー⁈やったーラッキーやったー!」

「だからっ‼どっちだって聞「右です右です。」


キレかけた杉崎に素早く答えながら紗耶は流れる町の光を見て笑った。

「ははっ、お兄ちゃんが居たらこんな感じなんですかね。私一人っ子なんで。」

杉崎のぶっきらぼうな優しさに触れて、紗耶は居もしない兄に思いを馳せた。


「だから、兄弟の居る杉崎さんが少し羨ましいです。あ、そこの道入ってもらえますか?」


杉崎は前を向いたまま複雑な顔をして答える。


「別にアレだぞ、うちは年も離れてるし、社会人になったらそれこそほとんど会わねぇしな。そんなもんだ。」




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