お腹が空きました。
ディスクで朝一番の仕事をしながらチラリと杉崎を見る。
目すら合わない完全仕事モードの鬼係長に紗耶は視線をパソコンに戻し、ぐふぐふとこっそり笑った。
コレを、あの杉崎さんが選んだのか。
可愛らしいクッキングシートといい、この器といい。
あの眉間のシワと目の前のガラスケースが余りにもかけ離れていて思わず紗耶はニヤニヤしてしまう。
そっかー、杉崎さんがコレをねー。
昨日もアパートまで送ってくれた後、コツコツキャラメル包んでくれたんだなぁ。
大事に食べなきゃなぁ。
妙に嬉しくなってしまった紗耶は早速一粒口に含み、机の下で携帯のメール画面を開いた。
『杉崎さん、ありがとうございます。めちゃくちゃ美味しくって可愛いです。』
bbb…
するとしばらくして、ポケットの中で携帯が振動する。
紗耶は周りをチラリと見、こっそりと画面を開いた。
『仕事中にメール打つな。冷凍庫の中にまだあるから、食べる分だけ器に移して解凍して食え。いっぺんに食うなよ。一週間ぐらいは持たせろ。冷たいの食べ過ぎると腹壊すぞ。ほどほどにな。』
お母さんか。
何気にこの人面倒見いいよなと思いつつ、紗耶はハーイと画面に向かって小声で返事をし、携帯をまたポケットにしまったのだった。