お腹が空きました。


お互いにダダダダと早歩きし、ガシッと抱き合う。


「紗耶っ!」

「スーちゃん!」

「何よもーあんた就職してからあんまり音沙汰ないんだからっ!こんなとこきてるなら連絡しなさいよ!」

スーちゃん事、鈴木砂奈子は紗耶の大学時代の友人である。

「ごめんっ!どう?院の子達は元気?」


当然のごとく近くにあった居酒屋に入り、二人はイベントメニューを注文した。


乾杯の後、ニシシと笑った砂奈子はみんな元気よーとつまみをかじる。

「あんた、良介と別れたんだって?」

いきなりの質問に紗耶はズビシと固まった。


「ハハハ、そりゃー知ってるよね。良介は元気にしてる?」


苦笑いで元彼の現況を聞く紗耶に砂奈子はもぐもぐとスルメをかじりながら答えた。


「もー頭ん中春って感じよー。」

「そっか。」

幸せそうなら、いいや。

忘れていた妙な虚しさが、心の底でむんずと起き上がる。

“好きだったから悲しい”とか、そんな単純な感情ではなくて。

たぶんもう、良介自体に未練はない。


ただ、


あー私、選ばれなかったんだ。っていう敗北感と虚しさだけがズルズル付きまとう。

紗耶は我ながら嫌な女だなと、自傷気味に笑った。





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