お腹が空きました。
「え?ああ、なんかこう…いつまでも互いにドキドキしてなきゃ嫌なタイプ?いつまでも恋愛をしていたいというか…。
良介なんか四回生の途中から倦怠期だわとか嘆いてたし。お前の倦怠期の基準がよくわからないわってみんなから叩かれてたけど。」
「倦怠期…。」
知らなかった…。
安定した、とか、落ち着いてきたなとは思ってたけど。
紗耶は改めて良介との感覚の違いに驚愕する。
付き合ってた頃は、彼がそんな事を気に病んでいたなんて、知らなかった。
知らなかった事が、多過ぎた。
でも、今更悩んだって仕方ない事ばかりで…。
「…まぁ、全部終わった事だから。」
「…ごめん、そうだね。…んー、つまり、私は何が言いたいかというと、紗耶にはもっと合う人がいると思うんだよね。パズルみたいにカチッとハマる人。良介とは合うようで合ってないような気がしてたからさ。今大学で実技中も頭に花咲かせてる良介みてると特にね…。ごめん。この話はやめよう。」
酔いつつもしょげ始めた紗耶に慌てて友人はビールを追加注文した。
そっか、
そうだったんだ。
このままの流れでいつかは結婚とかしちゃうのかなとか思っていた自分が少し恥ずかしい。
彼の中では既に終わりを予期していたのか。
完全に終わったはずなのに、なんでまた自分は傷付いているのだろう。
…しんどいな。
やっぱりしばらくは恋愛なんてこりごりだ。
そんな風に思いながら紗耶が静かにビールを傾けていると、
カタンッ
「おネーサン達、何男抜きで飲んでんのー?」
急に頭の上から降りてきた声に、紗耶は顔を上げた。