お腹が空きました。

そして隣に立つ背の高い男の子に視線を移し紗耶はおずおずと頭を下げる。


「あの、あなたもありがとう…えっと、ゆず…ゆ…、ユズ君。」

「…。」

譲原のゆずしか思い出せず、紗耶はアホ面をしながら頭をかいた。


そんな紗耶をしばらくじっと見て譲原はただ静かにこくんと頷く。


「…。」


「…。」


「…。」


お、おっとなしい子だなぁ。

紗耶はつられて言葉を発しない自分の事は棚に上げ、ぼーっと立ったまま冷や汗を流した。

お互いに黙り込む二人に砂奈子が駆け寄る。

「紗耶、一人で帰れる?私詳しく説明しにいかなきゃなんなくなったから。あいつら未成年だったんだって。しかもここに来るまでに駅裏でサラリーマン殴って来てたらしい。めちゃくちゃよ。信じらんない。」

酔いがすっかり覚めてしまったらしい砂奈子はテキパキと普段の砂奈子らしい動きであれこれ周りに指示を送る。


「あ、君、用事ないなら紗耶送って上げて。」

ビシッと指差された譲原に、紗耶は慌てて手を振った。

「いいよいいよっ一人で帰れるってっ!」







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