お腹が空きました。
紗耶は思い出すようにぽそぽそ喋るイケメン君を見上げる。
「新商品が出た。三種のベリーを使ったムース系。おもちゃ見たいな赤色が特徴、上の層が濃いゼリーになっててキラキラしてる。見た目は沢山ベリー乗っかってるから少し色気を抑えて可愛く仕上げてあるけど、味は少し大人系。」
「うわーー…。今すぐ走り出したいぐらい美味しそう。」
テンポは変わらないものの、ケーキの話になるなり急に口数が増えた隣に立つ男の子に紗耶は目を丸くして答えた。
というか、本当美味しそう。
「名前はLOVE cheek(ラブチーク)。恋するほっぺ。」
「可愛いーーーっ‼‼‼なにその名前‼」
興奮しだした紗耶にも動じず、譲原はまた淡々と説明する。
「壮介さん。」
「そ、そうすけさん。」
「亜栗さんの旦那さん。」
あーー、メレンゲ男子。
紗耶はキラキラの瞳を思い出してうんうんと頷いた。