お腹が空きました。


何やらバタバタと準備をしだした杉崎の、そのニヒルな瞳は珍しくランランと輝いていて。

紗耶はそんな様子をカウンターキッチン越しに頬杖をつきながらニコニコ見守った。







ウィーン……っ


「「おーーー。」」


紗耶と杉崎は振動するハンドミキサーを
観察しながら静かな歓声を上げる。

「確かに爆音はしませんね。…これって静かなんですか?」

静か静かと、うたい文句ばかり頭の中で繰り返していた紗耶には、思ったより音がしているように思えたが、杉崎は何言ってんだと口をへの字にした。

「全然ちげぇよ。聞いてわかんねぇか?これ本当すごいな…。」

メレンゲを立てながら感激している杉崎に紗耶はこっそりクスクス笑いながら訊ねた。

「そういえば、宗介さんのあだ名って誰が決めたんですか?」

「宗介?」

「メレンゲ旦那って。」

「ああ、」


姉貴の旦那の事かと杉崎は納得する。


杉崎はメレンゲに二回目の砂糖を加えながら答えた。


「姉貴だよ。」


「そなんですか。ふわふわですもんね雰囲気とか髪の毛とか。」


紗耶は真っ白な羊を思い浮かべ亜栗さんもナイスなあだ名つけるなぁと感心した。


「…。それだけの意味で言い出したんじゃねぇよ。」



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