お腹が空きました。
「おい、次行くんだろ?」
「はーい。」
広い背中を追いかけつつ、紗耶は間の伸びた声でこたえた。
…
「あっ!」
園を半分程見終わって、紗耶は長いスカートを翻しながらある目的の為に走り出す。
目の前に見える【葉山動物園限定パンダソフトクリーム】と書いてある旗を見上げながら杉崎は「あー…」と納得した。
「大丈夫ですよーーっ!杉崎さんのも買って来ますからーーーっ‼」
と、叫びながら小走りする紗耶に杉崎は俺の名前を出すんじゃねぇ!と小さく叫び返した。
シャァシャァ威嚇する杉崎を残し、紗耶は意気揚々とメニューを再度見上げる。
か、可愛い…っ。
大きめのワッフルコーンに、こだわりの練乳ソフトクリームを乗せ、パンダの目の形をした板チョコが二つ、口元の形をした板チョコを更にポンと乗せられ、可愛いとしか言いようがない仕上がりに紗耶ははしゃいだ。
ソフトクリームを二つ頼んだ紗耶の手元に、浅黒い肌のお兄さんから仕上がったパンダ二匹が渡される。
…あれ?
盛り付けのセンスによるのだろうか、写真よりやや歪んだ顔をしているパンダに紗耶はクスリと笑い、まだ可愛い方を杉崎に渡してあげようと彼の待つ白いベンチに急いだのだった。