お腹が空きました。




……






「わーーっ!キレー‼」



“夜の花屋さん”と掲げられた野外イベントに、紗耶は目をキラキラさせた。

夜空の下のライトアップされた着飾る花達に紗耶のテンションは上がり続ける。

「わーっ、あ、ここら辺はロウソクで緩く照らしてるんですねー。あ!あっちはめちゃ派手!」

「町の花屋のイベントらしい。各ポイントで違う人が飾ってるからな。切り花で生け花っぽくまとめてたり、あっちは植木鉢でまとめてるよな。」

最近町おこしが盛んだなぁと思いながら紗耶は杉崎の隣を歩く。

本当にキラキラしている現実離れした会場。

ふ、と握られた左手に、紗耶はへへへと下を向いた。


「杉崎さん本当に会社と家ではなんか違いますよね。」

「当たり前だろ。会社では仕事してんだから。」

「そーですけど…。由美ちゃんも言ってましたよ。プライベートでも厳しそうとか。」

クスクス笑いながら杉崎は繋いだ手を引き、紗耶に軽く持たれる。

「実際は?」

「そりゃまぁ…優しいですけど……っ」

触れる腕が心地良くて。

紗耶は顔を赤く染めながらそっぽを向いた。




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