お腹が空きました。





出口となっている建物の中は花の販売コーナーになっていて、紗耶達はここでものんびり見て回った。

「わーっ‼すんごい可愛いプリザーブドフラワー‼」

「なんだそれ。」

「…杉崎さんの知識の偏り具合が良く分かりません。なんかこう、生っぽいままで長期保存出来る?ような加工された花です多分。」

「お前も良くわかってねーじゃねーか。」

そんな二人のやり取りを後ろからクスクスと若い女性スタッフが笑う。

「イベント楽しんでいただけましたか?」

「あ、はいとっても‼どのエリアも個性的でしたー。なんか作成した人の性格が出てるというか。」


「えー!そうなんですよぅ!この辺の若いフラワーデザイナーが集まってなんかしでかそうって企画を立てたのが始まりで…」


ニコニコ爽やかな店員と紗耶が盛り上がっている間、杉崎はスッと姿を消す。

ん?と紗耶は杉崎を目で追おうとした時、その人懐こい店員さんにヒソヒソと囁かれた。

「彼氏さんに内緒でプレゼント、選んじゃいます?」

彼氏さん。

杉崎さんが彼氏さん。

紗耶はその新鮮な響きに頬を染め、テンパりながら店員さんの肩を叩いた。

「も、もーっ!商売上手ですねーっ。でも、いいですね。選んじゃおっかな。」

「是非お手伝いさせて下さいっ。」





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