お腹が空きました。





「ムフフー…っ」

「………。」

「フヘヘヘーっ…」


「…そろそろ黙れお前。」


助手席でニマニマニマニマしている紗耶に、杉崎は眉間にシワを寄せながら叱咤した。

黙れって酷くないか?と思いつつ、それでも紗耶の頬は緩み続ける。

「杉崎さん杉崎さんっ。どうしてこの花を選んで下さったんですか?」

紗耶は引き続きニマニマしながらハンドルを握る杉崎の顔を覗き込んだ。


杉崎はブスッと顔を歪めながら渋々答える。



「どうしてって、……お前っぽかったからだよ。」




「杉崎さん杉崎さん。…メランポジウムの花言葉、知ってます?」


「っっ‼」


杉崎は珍しく動揺し、車がちょっとだけ揺れた。



「…知らねぇな。」


一呼吸置いて、杉崎はなんでもないようにそう答えた。




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