お腹が空きました。
亜栗の情に溢れる微笑みを見て、紗耶はつられて頬を揺るます。
本当に兄弟仲良いなぁ。
えへへへ、と互いに笑い合った後、あ!と亜栗は手を合わせた。
「いっちゃんのアルバム、見る?」
「み、見ます見ます‼」
紗耶は前のめりになりながら答えた。
めちゃくちゃ気になる!ちっちゃい杉崎さん‼
「あーーっとその前に、ちょっとパソコンのメール確認して来てもいい?」
「どうぞどうぞっ」
亜栗は可憐なスカートをひらひらさせながら部屋をバタつく。
「甘いもの作るのはダメだけど、私機械はまあまあいけるんだよねー、…昔良くいっちゃんと性別逆なんじゃないって言われたわハハハ。」
カチャカチャと入口近くにあるパソコンを操作し、亜栗は奥の部屋に消えて行った。
いきなり静かになった部屋で、紗耶はカップに両手を絡ませながらぐるりとあたりを見渡す。
ピカピカのキッチン。
北欧調の小物。
亜栗の服装によく合うシンプルで暖かい空間に、紗耶はふわんと肩の力を抜いた。