お腹が空きました。




「…そういえば、杉崎さんてモテるんですよねー。」

「あ?なんだ突然。」

紗耶は絶妙な旨さだったポトフの器を洗う。

対面キッチンの向こうで机を磨く杉崎は不思議そうに尋ねた。

「やー、そういえば杉崎さんのそういう話今まで聞いてなかったなぁと思って。」

紗耶はとぼけた顔をしながらチラりと杉崎の顔色を伺う。

この3ヶ月間、散々この場所で色んな話をして来たが、杉崎の過去、しかも恋愛系なんて掘り下げた事は無かった。

しかし、今更ながら…気になる。

気になるではないか。


紗耶は洗って絞り終わったスポンジを突き出し、マイクに見立てて杉崎に取材した。

「ズバリ、最後に彼女が居た時はいつですか?はい。」

ニマニマ顏で尋ねる紗耶に杉崎は思いきり嫌そうな顏をする。

「なんでそんな事答えなきゃなんねーんだよ。」

「はーい、そんな事とか言わないで下さいイエローカード!」

紗耶は黄色いスポンジをクルリと回した。


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