お腹が空きました。
◆
「え?今日?」
紗耶は休憩室の入り口で携帯越しに曇った顔をした。
「えっとねー、今日はちょっとねー、、」
『先輩お願いします!本当に!緊急なんです!』
紗耶の大学の後輩木下は全力で食い下がる。
「室内先輩の職場の近くのファミレスとかでいいですから…っ。」
そんな、突然言われても。
んー参ったな、と紗耶は髪をガシガシ触った。
今日は、仕事終わりに両親の元へ旅立つ杉崎を、空港までお見送りしようと思っていたのだが。
「どうか私の悩みを聞いてくださいよぅ‼︎」
私の悩み、かぁ。
紗耶は訝しげに首をかしげる。
そもそも三つ下の彼女は、サークルも休みがちだったし、今まであまり喋った事が無いような…。
かろうじてアドレスは知っていたが、年単位で連絡をとっていなかったのに急にどうしたのだろうと紗耶は更に首を捻った。