お腹が空きました。
え…?
紗耶はハッとした。
そういえばまだ仕事を始めてそれ程たっていない頃、良介から異様に連絡があった時期がある。
夜中に着信があったり、急に遊びに来たり。
確かにいっぱいいっぱいで、あんまりかけあってあげれてなかったかも知れない。
「ごめん、…私の方こそ。」
「いや、もう終わった事だし。俺もいじいじして言わなかったのも悪いしなぁ。…そんなんで、俺には紗耶がいるから、ダメだってゆーのは、まぁ、頭ではわかってたんだけど。…その、」
そこまで言うと、良介はバッと深く頭を下げた。
「それでも、毎日大学で優ちゃんと顔合わせるたびに、どうしても惹かれてしまって…、紗耶には悪いと思いながら、ズルズル、一緒にご飯食べたり、図書館行ったり、部屋に…」
「部屋にあげたの?!」
「いや違う!あげたというか、あげたはあげたけどなにもしてないっていうか!いや、あれはした…のか?」
「…もういい、それで?」
慌てる良介に複雑な顔をしながら紗耶はグラスに口をつける。
氷が溶けすぎて、少し薄いなと感じた。