複雑な感情、365日。

ココロ



あたしの心臓は
どんどん加速していく。

早く着いてよ保健室っ!

と、不意に高橋が口を開いた。

「だから言っただろう」

何の前触れもなく、
あたしだけに聞かせる
この面倒臭そうな声。

・・・いきなり何の話か分からない。
こいつがあたしに何を言った?

「人の話を聞けって」

・・・え。
そんな、いつの話を・・・?

「いっ言いましたっ・・・け・・・?」

何噛んでんだあたし!
緊張してんのか!
こんな奴に
ドキドキしてしまっているのか!!

「っち」

・・・ありえない。

こんな裏表のある人間。
皆には優しい先生の顔で、
あたしには面倒臭そうに話す顔。

素曝せクソ教師!

「着いた、さっさと靴脱げ」

室内に入るとあたしを置いて
先に保健室へ向かった。

事情を話してくれるのかと
思いきや。

「・・・おい」

姿の見えない声。
保健室に入った高橋の声だ。

「保健の先生知らないか?」

「知ってると思います?」

「いや、そうだな・・・。
まあ靴脱いでそこ座ってろ」

室内の入り口近くにある
小さな丸い椅子に
あたしは座らされた。

「ぅわ・・・」

自分で見ても吃驚するくらい
腫れていた。

痛みはあまり感じないものの
見てると痛くなる。


ただ、痛みを感じないのが
こいつの所為ってのはムカつく。

2人っきりの部屋の中。
近くに多分、他の先生は居ない。

・・・意識すんなし!

あたしは頭を真っ白にして
ぎゅっと強く目を瞑り
保健の先生を待った。

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