†危険な男†〜甘く苦い恋心〜Ⅱ
「雨宮、一つ言っていいか?」
岡田くんは柔らかな口調で話し出す。
「なんだ?」
岡田くんはズイッとあたしの前に出ると、いきなり廉の胸ぐらを掴んだ。
「ちょっ、岡田くん!?何して…」
「いつまで寝ぼけてるつもりだ、この馬鹿野郎!!」
聞いたことのない彼の怒鳴り声に、あたしは言葉を失う。
「………」
「俺はな、お前に記憶があろうが無かろうが…そんなもんはどうでもいいんだよ。ただ宮崎を泣かすことだけは許さない!!お前俺に言っただろ!!絶対にアイツを泣かせないって!!あれは嘘だったのか!?」
岡田くんの言葉に、涙が出そうになる。
「……岡田…」
「悔しかったらさっさと目を覚ませ。これ以上俺を失望させないでくれ」
岡田くんはそれだけ言うと、病室を出ていった。
「廉…」
「……悪い。一人にしてくれないか」
廉は俯いたまま、そう呟いた。
廉はきっと、今が一番苦しいんだろう。
それに加えて…岡田くんの言葉。
あたしは…彼から離れることを、したくなかった。