幸せまでの距離

『もっと自分の時間を大切にしてほしい。

今のショウマは好きじゃない』

ネロにそう別れを告げられたショウマは、滑りどめで受けた大学に合格しても入学を拒み、第一志望のN大学も不合格になる。

ネロを失ったショックで勉強も手につかず、荒れた一年を過ごした。


「『ここの大学の偏差値が高いから浪人した』なんて、真っ赤なウソ。

恋愛にかまけてた自分のせい。ははは……」

ショウマは気まずさをごまかすように渇いた笑い声をあげる。

リクは、ただただ黙ってショウマの思い出話に耳を傾けていた。

「ネロは、今までで1番好きになった人だった。

いま、あの時のネロと同じ年になって分かったんだけど、俺ってほんとにガキだったんだよな。

ネロのことしか見えてなくてさ、

ネロにも俺と同じ感情で向き合ってほしい、もっと好きになってほしいって、そればかり押し付けてた。

ネロにはネロの生活があったかもしれないのに、そういうの全然考えてあげられなかった」


同性愛者は時に他人から特異な目で見られ居心地の悪い思いをすることもあるけれど、異性愛者と変わらない悩み事を抱えている。

彼らはいつだって真剣だし、恋愛で幸せになることをあきらめてはいない。


ショウマの恋愛話を聞き、リクは自分も成長できたような感覚を覚えた。

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