幸せまでの距離
「体の関係持てるのも嬉しかったけど、性欲がどうとかじゃなくてさ……。
一緒にいられるだけで幸せだった。
ネロのそばにいられるだけで良かったのに、欲張りになっちゃったんだよな」
ショウマは過去を吹っ切るように、ジョッキに残ったビールを一気に飲み干す。
「そういうの、なんかわかる」
リクはやや頬を染めてメイへの気持ちを話した。
「もっと触れたいなんて思わない……なんて言ったらウソになるけど、ただそばにいられるだけでいいんだ。メイとは」
「リクはそういうの真面目そうだもんな。
まさか、メイちゃん以外の子とも付き合ったことないの?」
興味津々に身を乗り出すショウマ。
リクは緊張によって渇くノドをウーロン茶で潤してから、
「メイだけだよ。他なんてありえない」
「メイちゃん、ガード堅そうだもんね。
モデルみたいな顔してんだから、愛想良かったら絶対モテるのに、もったいない」
ショウマはほろ酔い加減もあって、冗談混じりにそう言い、面白そうにリクの顔を見る。
「ああいうところがメイらしくてイイんだって!」
リクは唇を尖らせてやや強気に返す。
愛想の良いメイなんて想像したこともないし、そんな変化はいらない。
ましてや他の異性がメイを気にかけるなんて嫌だった。
“ショウマは酒入ると、テンションも表情もコロコロ変わるなぁ……”
リクは嬉しいような呆れたような、微妙な気分で息をついた。