幸せまでの距離
ミズキは部屋の中央に置かれている透明ガラスの丸いテーブルの上に、照り焼きハンバーグの乗った皿を置く。
メイの好物だ。
それだけではなく、炊きたての米と、具の入ったみそ汁。
乾いていてどこか寂しげな夜の空気は、瞬く間に食卓のぬくもり漂うものへと変わった。
メイも五感でそれを感じ取ると、猫達を見て感じた寂しさや微笑ましさをゆっくり消化してゆく。
頬の緊張が和らいだメイを見て、ミズキは言った。
「何があったの?
家族には、話しづらいこと?」
「……そうじゃないけど」
メイはハンバーグを一口だけ食べ、ミズキを向いた。
「……ミズキがそういう感じなワケが、分かる気がする」
「そういう感じ?」
穏やかであたたかいミズキの性格。
メイは目の前の食事のありがたさを再確認すると共に、自分と違い過ぎるミズキの内面を見て、思ったことを口にした。
「《当たり前》がそばにある生活って私には無縁のものだったけど、ミズキは違う。
生まれてからずっと、ここに住んでるんだよね。
……きっと、家は人を作るんだ。
優しい家にいると、優しい人間になるのかも」
ミズキは春の陽気のように優しい目元をしている。