幸せまでの距離
ミズキはメイの肩にそっと手を置き、
「うん、そうだね。その通りだよ。
周囲の心ない言動に追い詰められて、どうしようもなくなって、自分を悪者にすることでしか立ち位置をキープできなくなることもあるよね」
ミズキは中学生の頃に弟を亡くしてどん底に追いやられ、当時付き合っていた恋人を傷つけた。
それを思い起こしながら話をした。
「自分の傷をふさげていないから、他の人を傷つけてしまうんじゃないかな」
メイはここ数時間感じていた不快感を口にする。
「傷は多分、簡単には治らない」
「治らない傷は、ないよ。
一緒に治していこ?」
ミズキはうつむくメイの頭をゆっくりなでる。
「……だといいけど。こわいんだよ……。
リクに会えると嬉しいし、それなりに楽しい」
幼なじみだからこそ、昔と変わらない空気感も居心地良かったりする。それは確かだ。
「でも、リクを見てると腹の立つことも多いんだ。
多分、こんな風になるのは私だけ……」
「そんなことないよ」
ミズキはメイの言葉にただならぬ何かを感じつつ否定するが、メイは自分の中の化け物を無いものにはできない。
「ううん。私だけだよ。
自分をかばうために、いつかリクを、目茶苦茶に傷つけるかもしんない。私は……」