幸せまでの距離
細く寒く凍えるメイの心。
マッチ棒の火に接した氷山みたいに、メイの中 の『それ』は外部の暖かさに染められることな く冷ややかにのさばり続ける。
「誰かを傷つけたり、逆に傷つけられたりすん のはもう嫌だ……」
メイは異性に触れられるだけで鳥肌が立ち、長 い間それが治まらないこともある。
思春期頃からは、リクとも手をつないだことが ないし、抱きしめられるのもこわかった。
妻の代わりと言わんばかりにメイを慰(なぐ さ)み者にした実の父親。
同じく、幼いメイを性欲のはけ口にした実母の 元交際相手。
一時の楽しみのために気安く触れてくる、満員 電車の中で出くわす男。
金儲けのためにメイの性別と若さを利用しよう としたニセ弁護士。
「リクだけは違うって思いたい。
でも、男ばかりが、私を狙って、利用しようと した。
『リクだけが違う』なんて、誰が保証でき る?」
メイの瞳には大粒の涙が浮かぶ。
やがて大きな雫は食べかけのみそ汁の器に音も 無く落ちた。
ミズキは黙って、横からそっとメイを抱きしめ る。
「それだけじゃなくて……。
今日、友達連れて歩いてるリクを見て腹が立っ たんだ」
メイから見たリクは、何もかもが綺麗過ぎた。
過去も、心も、瞳の輝きも……。
マッチ棒の火に接した氷山みたいに、メイの中 の『それ』は外部の暖かさに染められることな く冷ややかにのさばり続ける。
「誰かを傷つけたり、逆に傷つけられたりすん のはもう嫌だ……」
メイは異性に触れられるだけで鳥肌が立ち、長 い間それが治まらないこともある。
思春期頃からは、リクとも手をつないだことが ないし、抱きしめられるのもこわかった。
妻の代わりと言わんばかりにメイを慰(なぐ さ)み者にした実の父親。
同じく、幼いメイを性欲のはけ口にした実母の 元交際相手。
一時の楽しみのために気安く触れてくる、満員 電車の中で出くわす男。
金儲けのためにメイの性別と若さを利用しよう としたニセ弁護士。
「リクだけは違うって思いたい。
でも、男ばかりが、私を狙って、利用しようと した。
『リクだけが違う』なんて、誰が保証でき る?」
メイの瞳には大粒の涙が浮かぶ。
やがて大きな雫は食べかけのみそ汁の器に音も 無く落ちた。
ミズキは黙って、横からそっとメイを抱きしめ る。
「それだけじゃなくて……。
今日、友達連れて歩いてるリクを見て腹が立っ たんだ」
メイから見たリクは、何もかもが綺麗過ぎた。
過去も、心も、瞳の輝きも……。