幸せまでの距離
ショウマを自宅アパートまで送り届 けたリクは、考えるまでもなく星崎 家に向かっていた。

メイに会うために。

しんと静まりかえる住宅地を歩きな がらケータイで時間を確認する。

月明かりに照らされた液晶画面に は、午後11時を示すデジタル時計 の数字。

アパートに着いた瞬間ショウマはだ だをこね、「今日は泊まってけよ」 と甘え出し、なかなかリクを帰して くれず、それを振り切るのに時間が かかり、こんなに遅くなってしまっ た。

時間的にも、今夜はメイに会いに行 けないとあきらめていたけれど、

『悩みって、自分だけで抱えてると 勝手に大きくなっちゃうよな』

リクがアパートを出る寸前、ショウ マがベッドの上で気持ち良さそうに 寝返りを打ちながら言った寝言らし くない寝言を思い起こした。


“ショウマの言う通りかも。

悪く考え出すと止まらなくなることって、あるよな……”

気付いたら、リクの心はメイに会い たいとつぶやいていた。

メイとの未来を良く考えるために、 空を見上げてみる。

ショウマのアパートは住宅街の中に 位置していたが、時間的にも人通り の少ない静かな夜道が伸びている。

空にまたたく星が、わずかばかりに リクの背中を押してくれているよう だ。

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