幸せまでの距離
それから約24時間後。

リクは市内にある和風ホテルの一室 にいた。

今日の朝から始まった大学の合宿に 参加したのだが、

今日一日何をして、どこを巡ったの か、全く覚えていない。

合宿といっても、よく知る市内の散 策をするだけで、宿泊先も普段市内 で見かけるこじんまりとしたホテル だった。

大学側の経費削減の意図が丸出しで ある。

今朝バスに乗る時は「こんなショボ イ合宿するくらいなら、自由に遠出 して日帰り旅行した方がいい」とい う文句が学生達から相次いで出た が、夜にもなると、みんな思い思い に楽しい時間を過ごしていた。

だが、リクだけはその空気にとけこ めず、他の学生達にノリよく話しか けられても空返事しかできないでい た。

ホテルの部屋割りは、1つの部屋に 6人までと決められている。

今朝、部屋のメンバーが記されてい るパンフレットが全員に配られた。

リクと同室の男子メンバーはみんな 女子学生の部屋に遊びに行くと言い 出て行ってしまったので、今はやや 日焼けした畳の室内にショウマと二 人きり。

「リクー。腹減ったー。

コンビニ行かない?」

「ごめん。今はそんな気分じゃない から、ショウマ一人で行ってきて」

リクは窓の外に広がる夜景を遠い目 で眺める。

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