幸せまでの距離
昨夜リクは、結局メイとろくに話も 出来ず帰宅してきた。

最終的に落ち着きを取り戻したメイ も、訪ねてきたリクと目も合わそう とせず、

「もう寝るから」

とだけ言い、家の中に入っていっ た。

リクの訪問に気付いたミズキに、

「リク君、せっかく来てくれたのに ごめんね。

メイには気はないの。わかってあ げて」

と、フォローされたけれど、リクに はそれがたまらなく悲しく、絶望に 近い思いを感じずにはいられなかっ た。

ミズキとメグル。彼女たちは、メイ のことをあれこれ説明してくれる し、リクにとってもそれは嬉しいし 助かることに違いない。

メイを大切にしてくれる存在は皆、 リクにとっても大事な存在だ。

しかし、彼女たちはリクに何かを隠 しながら「メイをお願い」と言う。

リクにとってはそれがもどかしかっ た。

“メグルちゃんも、ミズキちゃん も、どうして俺に100%メイを預 けてくれないの?”

メイの全てを受け入れる覚悟はあ る。

そのためなら傷を負ってもいい。

ずっとそう思っているのに……。

リクはメイが父親に性的虐待を受け ていたことを知らない。

ミズキとメグルがリクに隠しているのは、そのことだけだ。

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