幸せまでの距離
二人がホテルの外に出ると、自由時 間を満喫する学生達が街道や近くの 公園に散らばっており、リクはそれ を見てようやく、泊まりがけでここ にやって来ているのを実感した。

普段見慣れた町並みなのに、今まで とは違う雰囲気で。

入学したばかりで浮かれた学生たち は、新しい友人と楽しく語らってい たり、ショウマのように夜食を求め てコンビニに行こうとしている者も けっこういる。

日常的な景色も、共に過ごす人間と 訪れた目的が違うと、変わった色を 放つ。

「あ、あいつら酒飲んでる。

混ぜてもらおっかなー」

車通りの少ない道の端で数人の男女 が缶チューハイ片手に談笑している のを見て、ショウマが言った。

「何言ってんの!?

昨日あれだけ飲んだんだから、今日 はそういうのナシ!」

「もー。リクはほんと、堅いよ なー」

リクに腕を引っ張られ、ショウマは しぶしぶ飲酒をあきらめた。

道すがら、何人かの学生とすれ違 う。

昨日の入学式で見た時は知らない顔 ぶればかりだったのに、今日のおか げで何人かの顔見知りができ、時々 挨拶を交わしながら歩を進めた。

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