幸せまでの距離

「……さぁ。あの時のことは、自 分でもよく分からない。

……まあ、もう終わったことだけ ど」

メイは気持ちをごまかすように、 指で髪の毛先をもてあそびだし た。

メグルは目を見開き、

「終わったって、どういうこ と!?」

と、自分のケータイをにぎりしめ る。

メイを見つけたというメールを皆 に送ったメグル。

ミズキやマナからは一分も経たな いうちに返信があったのに、リク からの返信は来そうになかった。

「……言いづらいけど、リク君か らのメール、まだ来ない。

メイのことに関しては何よりも早 く反応するリク君が、だよ?」

「ふふっ」

メイはうつむいたまま、鼻で笑っ た。

「メイ……?」

何となく様子がおかしい。

そう思いメグルがメイの顔を覗き 込むと、メイは静かに泣いてい た。

「……リクとは別れた。

あいつといても、私は幸せになん かなれない。

本人にもそう言った」

「……!!」

どうしてそんなことを!?

メグルはとっさにそう訊こうとし たが、喉元まで込み上げたその言 葉は口から出すことができなく なった。

涙するメイは、口調こそ冷静だが 相当苦しんでいる。

リクからメールが返ってこない理 由。

それはあまりにも悲し過ぎて。

メグルは、自分の恋を失ったつら さ以上に、重い痛みを感じた。

「メイ……」

ただ一人、ジッと胸の痛みをこら えて泣いているメイを、メグルは 抱きしめた。
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