幸せまでの距離

メイが自室で取り乱していた理 由。

リクに別れを告げた時の心境。

今、どういう気持ちでこの涙を流 しているのか。

メグルにはその全てを感じ取るこ とはできなかったけれど、今はた だ、メイと一緒に泣きたかった。

涙がかれるまで――。

トウマと関わった時間は本当に短 かったけれど、メグルなりに本気 を注いだ恋だった。

これ以上深入りする前にトウマの 本音を知れて良かったのだと前向 きに思い、立ち直る努力をするつ もりだが、自分の恋がカナデとい う一人の人間を傷つけてしまった という現実が、今はただただ苦し かった。

メイを抱きしめ泣くことで、メイ の悲しみを包み込むだけでなく、 “カナデをあんな風にしてしまっ たのは自分だ”という罪悪感をも 軽くしたかった。

メイもまた、今は泣くという行為 にひたすら逃げようと思った。

メグルの腕の中はあたたかい。

行くアテもなく無計画に家を飛び 出したというのに、なぜか今は、 こうしてメグルのそばにい る……。

こうしていることが、当然のよう な気すらしていた。

高校時代から、メグルはメイを受 け入れ、拒否することがなかっ た。

リクとの関係は途絶えてしまった けれど、出来ることなら、メグル とは一生離れたくない。

人との関係や、心の行方。

リクと別れた今、それらに“絶 対”なんて無いとわかっていて も、メイは願わずにはいられな かった。

これ以上、自分の手で周囲の大切 な人を傷つけてしまいませんよう に、と――。
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