幸せまでの距離

浅い眠りだったのか、深く眠り だったのかは、よく分からない。

睡眠を取ったおかげで、肉体疲労 だけでなく胸の痛みも和らいでい る気がした。

それに加え、眠っている間はメイ と別れたという現実から逃げるこ とができた。

「ショウマ、ありがと……」

照れくささのあまり小声になって しまったが、リクはショウマに感 謝した。

砂浜で泣き続けるリクを見て何か 訊きたそうにしながらも、ショウ マはリクの気持ちを察したのか、 その後はもう何も訊いてこなかっ た。

ショウマが起きたら、流れ的にも メイとのことを話さなくてはなら ないだろう。

昨夜ショウマは、行方不明になっ たメイを必死に探してくれたのだ から、黙っているわけにもいかな い。

だが、ショウマはまだ起きそうに ないので、リクはもう少し横に なっておくことにした。

寝心地の良いソファーベッドで仰 向けになり、瞳を閉じる。

いま、ここでこうしていられるこ とに、リクは安堵した。

昨夜自宅に帰りたくなかったの は、誰とも顔を合わせたくなかっ たというのもあるが、何となく両 親と顔を合わせづらかったせいで もある。

リクの両親は長年、リクがメイと 関わることに難色を示していた人 達。

ミズキやナナセのおかげで、今で はメイのことを理解しようとして くれている。

それだけに、メイと駄目になって しまったことを知られるのは心苦 しいものがあった。

『やっぱり、リクとメイちゃんは 合わないのよ』

『こうなったのは、当然のことだ ろうな』

両親にそう言われてしまったら、 完全に立ち直れなくなる。

リクは、それがこわかった。

良くも悪くも、両親の出方や言動 に敏感に反応してしまう。

特に、メイのことに関して は……。

一度メイへの恋を否定されたこと があるだけに、リクの心はなおさ ら張り詰めていた。
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