幸せまでの距離
ベーグルサンドを一口食べてか ら、リクは改めて向かい側に座る ショウマに礼を言った。
「昨日はほんとにありがとう。
メイを探してくれたこともそうだ し、急だったのに泊めてくれたこ とも……」
「いきなりかしこまって、何言わ れるんかと思った」
ショウマは目を丸くした後、次第 に頬を緩め、
「リクのためだし、全然気にして ないって。
それに、ああやって誰かのために 一生懸命何かをするのって初めて だったし、楽しかったわ」
「そっか」
嬉々としたショウマを見るとリク はホッとし、あたたかいカフェラ テを飲む。
ショウマには迷惑ばかりかけてる のではないかと、心配もあった。
ショウマはそんなリクの顔を意味 ありげにのぞきこみ、
「リクって、弁護士目指して大学 来たんだし、そうなると、単位は 絶対落とせないよな」
「だね。このまま順調に進学でき ればいいんだけど」
「……もしかして、弁護士になり たいのって、メイちゃんのため?
入学式の日、熱く語ってたし」
そう言われ、リクは気恥ずかしく なる。
「んん……。そうだね。
メイのために、弁護士になりたい と思ってる。
そのことを話すと昔の話まで遡 (さかのぼ)るから、長くなっ ちゃうけど……」
リクは気持ちを整え、昨日話そう としていたメイの過去を、分かる 限りショウマに話した。
メイがニセ弁護士に騙された経 緯。
メイの中にある大人への悪いイ メージを消し去るために、自ら弁 護士を目指していること。
幼なじみとしてリクが見てきた、 メイのすべてを……。
その間、ショウマは何も食べず、 ただ黙ってリクの話に耳を傾けて いた。