幸せまでの距離
「他人から見たら、アットホーム で家族思いな父親ってイメージで 通ってたけど、あんなひどい父 親、いなくなればいいとずっと 思ってた。
要領も良くて仕事はできるかもし れないけど、母はそんな男と一緒 にいて幸せなのか?って、今でも 疑問……」
そんな息苦しい生活の中で、ショ ウマの居場所はなくなっていっ た。
母親は夫に愛されたいがため女と して生きることを選び、夫が理不 尽な理由でショウマを罵倒(ばと う)しても、ショウマをかばうよ うなことはしなかった。
ショウマの心の傷など見て見ぬフ リをし、常に、夫の顔色をうか がっていた。
唯一、歳の近い妹だけが、ショウ マの救いだった。
父親の“命令”で、幼い頃から妹 の面倒をよく見てきたショウマだ が、そのことだけは苦痛に感じな かった。
妹はショウマに懐いていた。
しかし、不健全な家庭に身を置く ことで、妹は昔の純真さを失って いった。
思春期に入る少し前から、妹です ら、ショウマのことを邪魔者扱い するようになる。
『お兄ちゃんがいると、家の雰囲 気が悪くなる』
妹も、昔はショウマと一緒に父親 の傍若無人(ぼうじゃくぶじん) さに困ってグチをこぼしていたの に、最終的にはそれら全てをショ ウマのせいにした。