幸せまでの距離
たしかに、ショウマの話は主題 じゃないのかもしれない。
けれど、リクはこう言わずにはい られなかった。
「ショウマの父さんはショウマと 血がつながってないかもしれない けど、ショウマのこと大事に思っ てるよ。
だって、そうじゃなきゃ好きな大 学に行かせたり、一人暮らしをさ せるわけないから」
学生とはいえ一人暮らしをするの には金がかかると、リクも知って いた。
大学も、合格したからといっても タダで入れるわけではない。
入学金や教科書代、はたまた授業 料など、今までの比ではない金額 が必要になる。
ショウマの父がそういう金を全て 出してくれるということは、本当 の子供としてショウマを可愛がっ ている証拠だとリクは思った。
だが、ショウマは残念そうな演技 で、
「いや、それは愛情かけてるとか 俺の意思を尊重してるわけじゃな い」
と、リクの前向きな意見を否定し た。
「父は人一倍世間の目を気にする 人だからね。
子供の進路に協力的な親、ってメ ンツを通したかっただけ。
実際、アパートに引っ越す時に、 言われたしね。
『お前がこの家からいなくなって せいせいする。
金はかかるが、大金はたいて粗大 ごみを処分したとでも思うことに する』ってさ。
粗大ごみ呼ばわりはさすがにムカ ついたけどね」