幸せまでの距離

「メイが好きだよ」

メイは顔をうつむかせていたからその表情まではよく分からないが、リクはたまらず質問してしまった。

「メイは、俺のことどう思ってるの?」

「……同じ…気持ち」

天にものぼる気持ちになったけど、リクにとってそれは、にわかには信じがたいこと。

メイは、ずっとリクを……いや、人と深く関わることを避けていたから……。


それは、メイの誕生日祝いが終わり、リクが星崎家を後にしようとした時に起きたことだった。

星崎家の養子となり冷徹な実の母親の元を離れたメイは、星崎家で心安らげる暮らしを送っていた。

そこでメイは、星崎家の長女であり一人娘の星崎ミズキを姉として慕ううちに、知らぬ間に芽生えていたリクへの恋心に気付いていったのだ。

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