幸せまでの距離

メグルはメイの言葉に耳を傾け る。

初めは淡白だったメイも、じょ じょに感情的になっていった。

「なにより許せないのは、避けよ うと思えば避けられる危険に自ら 飛び込んでいこうとしてるとこだ よ……!」

「メイ……」

「前にも話したけど、私は父親の せいで男を信用できなくなったん だよ。

単純で無鉄砲なリクのことすら、 信用できない。

男なんて、性欲に支配された鬼に しか見えない。

…………戻れるものなら、何の被 害も受けていなかった頃の自分に 戻りたいよ」

メイの両手は震えた。

昔自分の身に起きた性被害を鮮明 に思い出し寒気と吐き気がした が、グッと抑えて思いの全てをメ グルにぶつけた。

「メグルがカナデのことをどう考 えようが自由だ。

私が口出しすることじゃない。

自分の身を守りたいって考えるの も当然。

……でも、だからってカナデと同 じ風俗で働くってのは違うだろ?

それで本当にカナデが報われると 思うの?

全部綺麗に解決する?

そんなの、保身から出た単なる自 己満足だ」

「!!」

図星を突かれ、メグルは硬直し た。

その通りだった。

店のため、カナデのためと言いな がら、一番守りたかったのは自分 自身。
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