幸せまでの距離
メイは深呼吸をして気持ちを整え ると、
「メグルに、私と同じ思いをして ほしくないだけ」
と、立ち上がった。
「メイ、ごめん!
あたしのせいで、嫌なこと話させ たね……」
「別にいい。気にしないで」
メイは言うなり、部屋の扉を開け スタスタと玄関に向かった。
メグルの説得に力を入れたあまり に、自分自身が過去の傷に飲み込 まれそうになっていた。
それを紛らわすようにケータイで 時間を確認する。
話していたら、学校の始業時間が 近付いていた。
今から急いで向かったとしても、 おそらく遅刻だろう。
メグルは駆け足でメイを追いか け、言った。
「あたし、カナデちゃんの言いな りになるのやめる!
ウワサも、気にしないことにす る!
気付かせてくれて、ありがと う……」
「……そう」
表情には出さなかったが、自分の 思いがメグルに伝わりメイは安心 していた。
過去の自分みたいに、メグルが傷 つく姿を見たくない。
メグルもまた、メイに言われた言 葉のおかげで、自分の中でくす ぶっていた不安が消えるのを感じ た。